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「アカペラ」とはいったいなんでしょうか?

■アカペラの起源

 アカペラという言葉は、もともとイタリア語で、”a cappella”と書きます。”a”は”○○のように”、”○○風に”という意味で、”cappella”は”教会、礼拝堂”(英語のChapelと同じ)という意味で、アカペラとはつまり”教会風に””聖堂風に”というのが本来の意味です。それが、”教会で演奏される音楽”のことを指し、教会では伴奏なしで賛美歌を歌うことが多かったことから、楽器を使わずに歌うことを”アカペラで歌う”というようになりました。
(出典:アカペラ本~声で作り出せ!ハーモニー&グルーヴ/渡辺悠 著/リットーミュージックムック)

■現在のアカペラ

 では、現在のアカペラとはどのような意味で使われているでしょうか?
2001年フジテレビ系列で放送された「ハモネプ」で、一時のブームとなった”アカペラ”ですが、以前より”アカペラ”は身近なところに沢山ありました。
日本では、古くから「TIME FIVE」や「スターダストレビュー」などがアカペラアルバムを発表し、「山下達郎」も一人アカペラである『On The Street Corner』(1980)という職人芸を披露しています。少し前では「Phew Phew L!ve」「Vocal 7th Beat」という男性アカペラグループがメジャーレーベルで活躍、混声では「TRY-TONE」や「スムースエース」などが全国各地でコンサートも行っておりました。また、現在でも行っている、各大学サークルが集まってはじめたアカペライベント『KAJa』や『JAM』、社会人が中心にはじめた『アカペラ公園』なども、「ハモネプ」以前より行っておりました。その後、ブームにより「RAG FAIR」「INSPi」「BabyBoo」「AJI」など次々とアカペラグループがメジャーで活躍し、現在の”アカペラ”へとつながっております。
海外では、楽器が買えない黒人が”アカペラ”を路上で歌い始めたことがきっかけとされ、現在では”コンテンポラリーアカペラ”(現代風なアカペラ)といわれる系統。つまり「Rockapella」を筆頭に「The Nylons」「M-Pact」「Toxic Audio」といったVocal Percussionの入ったものや、ノリの良い”アカペラ”が主流となっているようです。また、”アカペラ”には「The Real Group」「Idia Of North」などのJAZZ系、「Naturally7」などのR&BやHIPHOP系、「The House Jacks」「Boyz Nite Out」といったロック系、「Five O’clock Shadow」といったエフェクト系、近年では新世代のアカペラグループとしてSing Offという海外のアカペラオーディション番組からデビューした「Pentatonix」「Voice Play」「Home Free」など様々なジャンルのアカペラグループがいます。世界には沢山のアカペラグループがありすぎて紹介しきれないほどです。アカペラという演奏形態は幅の広い音楽の形といって良いでしょう。
→ 詳しく世界のアカペラグループを知りたければ「あかぺら村」様がお勧め♪
(注:ただし、ジャンルは主流の部分であって、彼らがそれしかしないわけではありませんのでご了承ください。)
また、コンテンポラリーアカペラの他にも、バーバーショップ(字ハモのみで演奏)やドゥーワップ(Vocalとコーラスがわかれ、コーラスはDoやWaでハモる)は古くから歌われておりますし、最近ではHBBのみのバンドなども登場しております。(※HBB=HumanBeatBoxの意)

ちなみに、”ゴスペル”と”アカペラ”はよく間違えられますが、似ているようで違います。本来、ゴスペル(Gospel)というのはキリスト教の言葉で、グッドニュース(良い知らせ)という意味の言葉です。そして、神様への祈りや感謝などを聖書のメッセージをテーマにした音楽のことをゴスペルミュージックと呼びます。これには様々なスタイル(もちろんアカペラスタイルも)がありますが、一般的にはジャズや黒人霊歌の要素を取り入れた”ブラック・ゴスペル”のことをさす場合が多いです。つまり簡単に言うと”ゴスペル”=魂”スピリット”であり、”アカペラ”=演奏スタイルであるので、ゴスペル=アカペラではございません。(アカペラでゴスペルというと「ACAPPELLA」や「TAKE6」などが近いイメージですね♪ただ、ゴスペルにはギターやドラム伴奏も入るパターンも多く、アカペラスタイルとは限りません。)
(記:SIN)